2021年、ウェブトゥーンインサイトは大忙しでした。なぜなら、ウェブトゥーンの世界が大きく拡がったからです。OTT、メタバース、NFT等。記者としての能力の限界を試されているような一年でした。
とにかく、そうやって1年を過ごして、少し市場が広く見えるようになったところで、2022年の展望をしてみましょう。
まず1月。すでに周知の通り、BTSとNAVERウェブトゥーンが 「スーパーキャスティング」というコラボを結び、 <7FATES:CHAKHO>を公開しました。 このように計画的で、事前にある程度完成するまでの企業間の利害関係が働き、多額の資金が投入される作品を、私たちは「ブロックバスター」と呼びます。
これからはウェブトゥーンにもブロックバスター時代が切り開かれます。一つの企画作品に数億、10億ウォン単位の前払い予算が投入され、IPを確保しておくための努力がお金に換算される時代が開かれるものと思われます。勿論、これはB2B、つまり企業と企業間の安定的なIP供給に限ってまず起こる可能性が高いです。最近、YLABが製作を引き受けて話題となっているクラプトンのウェブトゥーン3作も同様の流れです。
今年公開される「ブロックバスター」の主流は、Web小説IPをはじめ、映画、ゲーム、アイドル、OTTオリジナルをコラボした作品になるかもしれません。すでに昨年はそんな試みをたくさん見ました。 『勝利号』、『その年、私たちは』のような事例が2大プラットフォームから両方出ており、今年はこのような試みがさらに拡大されると思われます。
KAKAOエンターテインメントも、ピッコマも株式公開予告をしています。KAKAOエンターの詳細はまだ公開していませんが、おそらく米国証券市場への上場を目標にしているようで、ピッコマは東京証券市場への上場を目標にしていると思われます。韓国ではジェダムメディアがIPO宣言をして準備中です。
プラットフォーム等から巨額投資を受けた制作会社が投資し、別の制作会社やスタジオを設立するケースも増えています。スタジオを買収する場合もあります。D&CメディアはANT STUDIOスタジオを買収し、TOYOUDREAMも投資してスタジオを設立しました。この他にも、ピッコマのStudio1pic等、2020年に盛んだったKAKAOエンターの攻撃的な投資のような動きが、今は投資会社、つまり本当のお金で稼ぐところが、投資~上場~EXITへとつながる流れを本格的に作り出す可能性もあります。
つまり、「助け合い事業」をする時代は終わり、「本当の実力で競う」時代が近づいてきたのです。ある意味ではとても怖い時代に突入します。今の価値だけで評価されるようになりますから。漠然とした将来性で投資するのではなく、今は本当にお金を儲けるための投資、そして上場または売却を通じたEXITという確実な出口まで用意された状況です。
すでにMUNPIAに投資した私募ファンドやレジンエンターテインメント等はこのような手順を踏んでおり、今年はこのように投資を受ける企業がさらに増えることになるでしょう。これまでは主にKAKAOエンター等のプラットフォームが投資の主役だったとすれば、これからはプロの投資家が主役になると予想できます。
次にプラットフォームについてですが、グローバル競争がさらに激しくなるでしょう。 NAVERウェブトゥーンは現在、北米、日本、インドネシア、タイ、フランス、スペイン、ドイツ、台湾、中国等でサービスを行っています。
KAKAOエンターは、KAKAOページがインドネシア、KAKAOウェブトゥーンが、タイと台湾、ピッコマが日本とフランス、そして中国にテンセントと合弁会社を設立し進出しました。
激しくなるグローバル競争をけん引する双頭馬車は、言うまでもなくNAVERウェブトゥーンとKAKAOエンターです。そしてグレーゾーンにTappytoonがいます。今年、最も熾烈な戦場はまず北米になるでしょう。KAKAOエンターがTapasを先鋒に本格的なプラットホーム競争に跳びこむ準備をしてます。Tapas COOのミシェル·ウェルズ氏は「NAVERウェブトゥーンは強いライバルだが、我々が勝てないほどではない。我々は挑戦していく」と、あるインタビューで明らかにしている。攻撃的な投資が続けば、グローバル競争は北米で爆発するのではないかと思われます。
このように業界が次第に多様化し、複雑化していくため、個人創作者がカバーしなければならない責任と範囲も次第に広がっています。連載契約と国、映像やグッズなどの2次的著作物だけを考えればよかった以前とは異なり、今は2次著作物もNETFLIX等のOTTに独占コンテンツとして提供するのか、それとも既存のTVに放映してOTTに再送信する方式かによって変わってきます。
2次著作物の範囲もNFTまで広がり、それに伴う手数料が適切なのか、市場状況はどうなのかを個人作家がすべて管理することはきわめて困難です。連載、または連載の準備と同時にこのような契約に対する事項をいちいち個人作家がチェックすることは至難の業です。したがって、「真の意味のエージェンシー」が登場する可能性もあります。作家たちの契約交渉を代理して手数料を取り、マネジメントを提供して作家に完全に創作にだけ没頭できるようにする本当の意味の「エージェンシー」です。
同時に、作家たちの交渉力を育むための団体の革新、または誕生も求められます。現在のように個人創作者個人の情報、経歴によって分かれるのではなく、創作者が交渉を通じて得られるものを共有して、作家の権利を守るために集まった連帯体が必要です。個人作家がますます疎外され、相対的に不利な環境に置かれたなら、それを連帯を通じて解決できることが必要になるからです。
20人で作る作品と1人で職人精神を込めて作る作品が1つの空間で競争している現在は、個人創作者に「天才でなければならない」という壁を感じるのに十分ではないでしょうか?
こうした体制に対する交渉とデータを要求する団体も必要だという声が出ているが、今年にはそういう動きが出るのではないかと期待します。
また、グローバル現象へと広がる不法ウェブトゥーンの共有には、積極的に当事者が対応するためにも、上記のような連携は不可欠です。今は創作者個人が証明しなければなりませんが、連帯がその代理を引き受け、代表性を持つ団体が政策的アジェンダを直接研究して意見を提示できれば、とても頼りになるはずです。
ウェブトゥーンインサイトが今年注目する点をいくつかまとめてみました。
ウェブトゥーンIPがコンテンツの中心か? というと必ずしもそうではないのですが、最も脚光を浴びていることか?と聞かれたら、そうだと言わざるを得ない理由がここにあります。なぜなら、あらゆるのコンテンツ分野が注目しているからです。とすれば、我々もそれに合わせて目線を一段階上げて、パフォーマンスも引き上げる必要があるでしょう。