
ウェブトゥーン作家と制作会社は多くの時間をかけて企画と準備をします。しかし、プラットフォーム運営ではそれよりずっと長い期間の計画が必要です。プラットフォームが備えるべき必須事項の一つが安定的な運営であるだけに、長い期間安定的にサービスを提供できなければなりません。
ウェブトゥーン界で最も長い計画は、NAVERウェブトゥーンが持っています。キム·ジュング代表が2004年、NAVERウェブトゥーンを始めて立てた計画です。 2021年2月16日の朝鮮日報のキム·ジュング代表のインタビューによれば、「36年計画の半分が過ぎた」という部分が出てきます。この36年の計画は初めてNAVERがウェブトゥーンを事業化すると決めた時、漫画市場が崩れていた上に原稿料も少ないNAVERウェブトゥーンを信じてくれなかった作家たちを説得する時間は多くの時間を要しました。NAVER36年の計は、12年ずつ3段階の計画を見せたことから始まります。
朝鮮日報「アジアのディズニー36年ロードマップ、Kウェブトゥーン世界征服の半分ほど来た」
◼️最初の12年
2016年までの最初の12年の計画は「有料化」でした。NAVERウェブトゥーンは2013年4月PPS(PageProfitShare)を導入し、2013年6月4日の記事では初月売上額は5億9千万ウォン、オンライン広告収益が2億9千289万ウォン。プレビューや完結作の再放送売上額は4千874万ウォンで作家に戻った収益は70%の3千411万ウォンです。広告収益を含め、当時NAVERウェブトゥーンに連載中だった作家108人に分けると、1人当たり255万ウォンしかありません。
◼️現在進行形の12年
しかし2016年までには、レジンコミックスの登場とともに訪れたプラットフォームの戦国時代によって有料化モデルが定着しました。ポータルの無料コーナーであったウェブトゥーンが「お金を払って見る価値がある」コンテンツとして定着し始めた段階でした。
よくコンテンツ業界で「詐欺師の口説き方」と言われる格言があります。「相手の話に『ディズニー』、『マーベル』が入ったら疑うべき」。夢は大きく持てと言っても、現実に比べてあまりにも大きな夢を見る人たちを警戒しろという意味です。
ところが2019年以後、ウェブトゥーン界で毎年「アジアのディズニー」を話す人がいます。
NAVERウェブトゥーンのキム·ジュング代表です。この話は2016年ソフトバンクベンチャーズとNAVERがファンドを造成する時に初めて出た言葉ですが、なぜよりによって2019年だったのでしょうか?
2017年から始まり、2029年まで続く「現在進行形の12年」の核心は「IP拡張」です。2019年、NAVERウェブトゥーンでは本格的に制作会社の作品が連載され始めます。個人クリエイターの作品だけが連載されていたNAVERウェブトゥーンに本格的に「制作会社の作品」が連載され始めました。
制作会社の作品を通じて安定性とIP需給能力を高めることが狙いですが、同時に拡張することにも本格的に乗り出し始めます。NAVERウェブトゥーンが分社化して「スタジオn」を設立し、本格的に制作力量を育て始めました。それも2019年です。2019年8月31日に放送された「他人は地獄だ」のドラマを共同制作した「スタジオn」は以後、製作予定作を含めドラマ15作品、映画11作品、アニメーション3作品、計29作品を制作しています。先の朝鮮日報のインタビューを見れば、2021年2月当時まで映像化作品が77作品なので、40%程度を「スタジオn」が担当しているわけです。
制作会社の作品需給を通じてウェブトゥーンIPを安定的に供給できる力量を育て「スタジオn」を通じて映像制作能力を育てる。NAVERウェブトゥーンがIP拡張のために描いている下絵です。このように下絵を描いていた2020年10月、NAVERとCJは約6千億ウォン程度の持分交換を成功させます。NAVERはCJグループの系列会社であるCJENM、スタジオドラゴンにそれぞれ1500億ウォン、CJ大韓通運とは3000億ウォン程度の持分を交換しました。ここにはNAVERの力点事業である物流、そしてコンテンツに果敢な投資を通じてパートナーシップを作るという意味があります。
CJはCJENMだけでなく、TIVINGというOTT事業を持っているし、スタジオドラゴンは国内最高のドラマ制作力量を備えています。そのようにテレビで公開されたNAVERウェブトゥーン原作ドラマは<ユミの細胞たち>、<内科医パク院長>、<無職の三食>等があり、ここに期待作である<放課後戦争活動>が準備中です。この間、NAVERウェブトゥーンは「神の塔」、「ゴッド·オブ·ハイスクール」、「ノブレス」のアニメ作品を公開したりもしました。
2021年1月にはNAVERウェブトゥーンは、6千億ウォンを投じてWATTPADを買収します。 北米地域最大のウェブ小説プラットフォームのWATTPADを買収し、NAVERウェブトゥーンはグローバルプラットフォームへの本格的な拡張を図っています。 買収が本格的に行われた後は「WATTPADウェブトゥーンスタジオ」を設立し、北米地域IP拡張前進基地を作って運用しています。
この「WATTPADウェブトゥーンスタジオ」の役割は思ったより早く訪れました。 CJENMがパラマウントを所有したバイアコムとコンテンツ製作協力を約束した翌日、NAVERウェブトゥーンもパラマウントと製作協力をすることにしたというニュースが出ました。
さらにCJENMが1兆ウォンをかけて買収したエンデバーコンテンツとは活発に交流するレールが敷かれているので、今や12年計画の2段階、IPのグローバル拡張については確実に成果が見えています。
さて、グローバルIP拡張チェーンはすでにインストールされています。日本と東南アジアにはLINEマンガ、北米と欧州には「Webtoons」が出ており、IP拡張のための「スタジオn」とWATPADウェブトゥーンスタジオも準備されました。
配給のためのTIVING、パラマウントはもちろん、従来の拡張の責任を負っていたNETFLIXもあります。これから必要なものは何でしょうか。
当然IPです。拡張のためのレールが敷かれていてもIPがなければ話にならないです。ここでもう一度、なぜよりによって「アジアのディズニー」なのかを考えてみる必要があります。 ディズニー傘下にはディズニー+をはじめ、ナショナルジオグラフィック、ヒストリーチャンネル、FOX、マーベル、ルーカスフィルム、ピクサーなど数多くのコンテンツ企業が属しています。
NAVERウェブトゥーンは単純に「ウェブトゥーンのIP拡張」ではなく、もっと高いところを眺めているのかもしれません。IPを安定的に得るためには安定した事業環境が必要です。 2019年漫画の日イベントでキム·ジュング代表は、制作会社の作品が増えることに対する憂慮を表わす質問を聞いて、「面白い作品さえあれば今後10年間は個人クリエイターの方々は心配しなくても良いのではないかと思う」と話しました。
そして実際に2019年以降、NAVERウェブトゥーンは個人クリエイター中心のスタジオに投資しています。2021年の監査報告書によると、NAVERウェブトゥーンが投資した企業リストを見ると、計14ヵ所のウェブトゥーン制作会社に投資しました。 このうち、個人クリエイターが中心となったスタジオは9ヵ所(2ヵ所は推定)で半分を超えています。子会社を含めNAVERウェブトゥーンが公示した投資先は28ヶ所ですが、そのうち半分がウェブトゥーン制作者で、その半分を越えるところが個人クリエイター系であるわけです。
今まで総合してみれば、NAVERウェブトゥーンはウェブトゥーンという巨大な塔より、個人クリエイタースタジオを多く作って投資していくつかの柱を立てようとしていると見られます。より多くの作品を安定的に供給する一方ではNAVERウェブトゥーンに必ず必要な作家たちの「アイデンティティを保全」する方向で投資を進めていると見ることもでき、またもう一方では可能性のある作家たちをNAVERウェブトゥーンの好みに合うように編成しようとする試みと読むこともできます。
キム·ジュング代表が2019年に話した「10年後」は2029年です。2016年に始まった「2回目の12年」が終わり、「3回目の12年」が始まる時間です。2004年から2016年まで有料化、2017年から2029年までのIP拡張がキーワードとなると、3つ目のキーワードは何になるでしょうか? それはディズニーを調べれば分かるでしょう。
「最後の12年」のキーワードは「オリジナル」ではないかと思います。NAVERウェブトゥーンが作り出した世界観の中の数多くの柱、今投資を受けた個人作家スタジオを含む会社が「小さなマーベル」になって数多くの話を作り出し、そのIPを拡張して流通するチャンネルとグッズなど事業まで全て管掌することを目標にしているのではないかと考えられます。
NAVERウェブトゥーンはすでにウェブトゥーン専門グッズショップ「ウェブトゥーンフレンズ」を運営中であり、タンブルバックですでにオーディオドラマを含むコンテンツ48種をオープンし運営しています。これが定着すれば、ディズニーランドのようにNAVERウェブトゥーンテーマパークも夢ではないかもしれません。COVID-19により運営に支障はあったが江南駅近隣に「ウェブトゥーンオフライン」空間を運営し、色々な企業と提携して脱出カフェにNAVERウェブトゥーンIPが活用されたこともあります。その時になれば、また私たちはどのようにウェブトゥーンを評価しているのか気になります。
もちろん36年は長い時間です。もう一度、未来がどうなるかは誰も分かりません。ところが計画は必要ですね。今日はNAVERウェブトゥーンの計画について紹介しました。