韓国においては、ウェブトゥーンは国民的なメディアと言っても過言ではないですが、マ他の分野い比べれば歴史がまだ20年と短く、国民に影響を与え始めたのが10年程度のウェブトゥーンが、どれほどの価値があるのかを規定するのはなかなか難しいことです。そこで、Webinとしては、ウェブトゥーンの現在位置と、各IPが持っている力量がどの程度かを「Googleトレンド分析ツール」で作品別に分析することにしました。Googleトレンドを利用しただけでは詳細な分析は難しいですが、ある程度の傾向は把握できました。
①
「ココロの声」
<連載期間:2006.年9月 ~ 2020.年7月.NAVER WEBTOON>
まずは、初期のヒット作品「ココロの声」です。最も高い検索量のピークは2016年11月ですが、2010年10月と2012年1月も飛び上がっています。まず、2010年のピーク理由を推測すると、当時流行していた「チャドナム(クールで都会的な男)」という流行語の由来が「ココロの声」にあることを検索で知ることになり、検索量が増えたのではないかと思われます。2012年は不明ですが、最大ピークの2016年の理由は明確です。KBS 2のドラマとして公開された時期だからです。ピークが下がり始めた2017年1月はドラマが終了した時期と一致します。ドラマが検索量を引き上げるということがわかります。
② 「隠密に偉大に(シークレットミッション)」
<連載期間:2010年7月~2011年4月.NAVER WEBTOON>

ウェブトゥーンとしての『隠密に偉大に』は確かにヒット作ですが、『ココロの声』ほどの波及力があったとは言えませんが、「ココロの声」と検索量を比較すると、立場は逆転します。「隠密に偉大に」の映画が公開される直前の2010年6月から検索量が殺到し始めます。当時「泥棒たち」という主演作映画で人気絶頂のキム·スヒョンが映画版の「隠密に偉大に」にも主演したことで、大きな影響を及ぼし、映画興行も大成功し、検索量を極大化しました。ウェブトゥーン自体の検索量は、映像化以後の検索量に勝てないという、良いのか悪いのかわからない結果をもたらしました。
③「神と共に」
<連載期間:2010年1月~2012年8月.NAVER WEBTOON>

ウェブトゥーン原作の歴代最高の映画興行成績を記録した「神と共に」は、700万人を動員した「隠密に偉大に」より高い検索量を作りました。グラフの黄色の線が「神と共に」グラフですが、1編が公開された2018年と2編が公開された2019年に2回のピークになりました。「神と共に」は連載当時から完結以後までウェブトゥーン界の定番として着実に人気を得てきた作品だったにもかかわらず、映像化に流入する新規検索が「隠密に偉大に」よりも圧倒的な物量を吐き出したわけです。そして、映画の興行が再び新規読者を作り出し、単行本100万部につながりました。ドラマがウェブトゥーンの需要再喚起、読者層拡大に寄与するということがわかりました。
④「チーズ·イン·ザ·トラップ」
<連載期間:2006. 09. 08. ~ 2020. 07. 27.NAVER WEBTOON>

「チーズ·イン·ザ·トラップ」(以下、チイント)は、ドラマ化されて放映された2016年1月から増え始め、3月に頂点に達しました。「神と共に」よりも高い値を記録しています。しかし「素早くピークアウト」しているの特徴です。ウェブトゥーンの連載期間はTVドラマの放映期間よりもずっと長いですが、ピークを作るのはドラマです。しかし、ピークアウトを早めるのもドラマということでしょう。ウェブトゥーン原作のドラマにはいいことばかりではないのかもしれません。
⑤ 英語検索語「webtoon」は、ずっと右肩上がり。

それでは英語の検索語で比較してみましょう。上図は過去5年間を対象にキーワードトレンドを見た結果です。赤色は「webtoon」、青色は「hellbound」、黄色は「SweetHouse」、緑色は「ItaewonClass」です。最も高い数値を記録したのは「SweetHouse」でした。 その次は「hellbound」、そして「ItaewonClass」です。
「webtoon」というキーワードは、継続して右肩上がりを描いているという点が目立ります。つまり世界では、着実に「webtoon」に対する関心が増えており、原作の映像化等のIP拡張がその数値に大きく貢献しているということでしょう。韓国人が面白い作品が出てくれば「ウェブトゥーン原作」可否を検索してみる人が増え、関連検索語としても浮上します。
海外でもそのようなことが起こるのかもしれません。
⑥それでもwebtoonはまだドラマに勝てていない!?

ところで、私たちが知っておくべきことがあります。それは「Squid Game(イカゲーム)」の検索量を調べればわかります。グラフを見れば一目瞭然。ウェブトゥーンの大人気作品よりも、はるかに高い数値を記録しています。
韓国のウェブトゥーン界では、ウェブトゥーンがコンテンツの王者と思われているかもしれません。それはドラマの原作としての実績も豊富になっていますので、当然の意識だと思います。しかし現実的にウェブトゥーン原作ではない「イカゲーム」との差は縮めようもないほど、離れています。ウェブトゥーンは韓国の主要なコンテンツジャンルにはなったものの、まだまだ、大きな伸びしろがある分野であることをデータが示してくれました。